多摩川

 

 

 

 東京にきて5年、海をみることが殆どなくなった、高校生の頃学校以外は家に籠りがちだった僕も家から徒歩15分の海にはよく行っていた、海はすごい、いつ行っても誰と行っても必ずひとりきりになれる。

 海を眺めてると、波の音しか入ってこなくなって、あとはもうひとりの空間になれる、それがものすごく好きだった、誰かと燃えるような恋をしても、誰かに絶望するくらい裏切られても、いつだってひとりきりになれたので、結局人生ひとりきりだから大丈夫とリセットできた、いつだって再スタートできた、そんな海とも東京では徒歩15分から車で1時間半になってしまった

 

 

 だけど最近はよく多摩川へ行く、毎朝多摩川の川沿いをバイクで横切ると言うこともあって何かあった日は、何もない日も、時間があればちょっと脇道にバイクを止めて川沿いに降りてぼーっとするようになった、時々音楽をかけるけどでも大体は海を見ているときみたいに、海よりは波の音はないし、地平線だってないけど、毎朝毎晩そこにあることは変わらないし東京では第2の海みたいに今ではなってくれた

 次に住む時は多摩川の川沿いに住みたいな、2階建てのそんなに新しくも古くもないアパートで、大きいソファーと大きいテーブルを買ってそこに大きいパソコン置いて超静かに暮らしたい、モノも最小限にしたい、とかを今日は考えてた

 

 

 

 明日は両親が東京にくる、びっくりするけど会うのは2年近くぶり、自分の親に2年近くも会ってないのすごいな、親から見た僕も見違えるかもしれないけど、きっと僕から見た親も見違えていて、両親が帰る頃を今から想像すると本当にアクセルを踏み続けるしかないなと思う

 

 

 今までは野望ばかり抱いていた気がする、売れたいだのああなりたいだのこうなりたいだの、そしてそういうものに対してはダサいだの媚だの妬み嫉みばかりだった

 だけど最近は明確に理想があってそれに向かっている気がする、いつだってここはまだまだ道中これからも長い道がある、と思える、

 そうだった、急に頂上に行けるわけでもないし簡単にペースに慣れる訳でもない、道には迷うし上り坂は疲れるし荷物だって重たい、だけどいつだって顔を上げたらその時にしか見れない景色があるんだった、今週の自主企画も絶対最高のものになる、このアルバムだってきっとずっと大事にできる、俺は絶対多摩川の近くに住む